SOLVE A RIDDLE〜双子の勇者たち〜

+カレア+

秋風は部屋に入るなり鍵を閉めた。
腰を抜かし、ベッドに倒れ込んだ。
グロールの事が分からない。
秋風は、色々考えているうちにそのまま眠りについてしまった。

+++

運命の日は突然訪れた。
空が真っ暗な闇に変わった。
理由は分からないが、大人たちは随分慌てていた。
カレアの周りには沢山の大人たちが居たが、どうしたの?と尋ねても、誰も何も教えてくれなかった。
こんな時に会いたいのはカレナだと思った。
カレアは大人達の目を盗み、カレナの居る魔界へ向かった。
魔界ではもっと慌しくて、大人達に紛れて宮殿へ入ったけれど、カレナの姿を見つけ出す事は出来なかった。
しかし………!!
「カレアか!?」
聞きなれた声がして振り返ると、カレナの世話係りのパストルだった。
パストルはカレアの手を引き、少し静かな所へ連れて行った。
「カレナはどうしたの?私、カレナに会いに来たの」
パストルは少し悲しそうな目をした。
「落ち着いて聞いてくれるかい?」
カレアは悪寒に襲われた。
胸騒ぎがする。
「カレナが居なくなったんだ」
居なくなったってどういう事?
パストルはカレナの世話係りでしょ?
そう言いたかったけど、パストルが泣きそうだったから言わなかった。
カレアは少し大人の振りをしたかったから。
「ビークも居ないんだ。二人でどこかに行ったのかも知れない」
それは無いと思った。
だって、カレナはカレアがいないと何も出来ないんだから。
カレナはカレアと一番仲良しだもの。
「とにかく、今皆で探してるんだ。他の国に知られてはまずいのでね」
「無理だと思う」
カレアは首を横に振った。
妖精界がバタバタしていた理由は知らないけど、カレナの行方不明と関係していると直感した。
カレアはパストルにそれを告げた。
「ねぇパストル、一緒に探しに行こう?」
しかしパストルは首を横に振った。
「どうして?カレナの事が心配じゃないの!?」
パストルは何も答えなかった。
「パストルなんて大嫌い!!私、探してくる!」
カレアはそう言い、城を飛び出した。

「パストルなんて大嫌い!!」

秋風は、ハッと目を覚ました。
「パストルなんて、大嫌い………?」
首を傾げ、そのまま深い眠りについた。

+++

翌日、身支度を済ませ、予定通りに出発した。
皆は気球から塔の前に降りた。
北の塔が天界なら、南は地界。
東西が分からなくて怪しかったが、思い切って東の塔に来たら、運良く妖精界の塔だった。
「本当にビークの奴、襲ってこないんだろうな?秋ちゃんに万が一の事があったら!」
「あいつはファジィが嫌いなんだ。寄りつかないだろう。それに秋風は塔の中だから襲われる事はまずない。あ、プレーノが一番危険かもな」
グロールが茶化すと、プレーノは頬を膨らませた。
「じゃぁ、僕達は行くけど、秋風頑張れよ!」
秋男は秋風の肩をポンポンと叩いた。
「うん、頑張る。お兄ちゃんもマリネも気をつけてね」
「グロールにはナシか!はっはっはー!」
今度はプレーノが茶化し、グロールが頬を膨らませた。(様に見えた)
マリネ達は再び気球に乗り込む。
残された秋風達の姿が小さくなっていった。

「グロール、どちらへ向かえばいいのかしら?」
「西の塔」
「西の塔は魔界の塔よね?カレナがいるとでも?」
「行ってからのお楽しみ」
マリネはグロールに言われるがまま気球を操縦し、目的地に着陸させた。
「誰もいないぞ?グロール」
秋男は塔を見上げる。
「あぁ。秋男、塔に触るんじゃないぞ」
グロールは軽く返事をし、塔に触れた。
秋風が天界の紋章を見つけた時と同じように、塔の埃を軽く払ってみた。
「これは?」
「魔界の紋章。このペンダントと同じ、な」
「グロールは魔界の王、カレナに仕えていたんだったね」
「あぁ。幸か不幸か、宮殿が襲われた時にそこに居なかった。生き残った俺は、生まれ変わったはずのカレナを、探す事に決めたんだ。しかし疲れ果て、スリーベリータウンの老夫婦に拾われ、 そこでグロールと名付けてもらった」
「じゃあ、グロールはパストルの生まれ変わりではなく?」
「あぁ。魔族の生き残り」
秋男は目を大きく見開いた。
「情報を集めようとジオラマ城の兵になり、ずっとカレナの手がかりを待っていたんだ」
「そうだったの………」
マリネも目を見開いていた。
「でもカレナだと思った秋風はカレアだった。振り出しに戻ったね」
グロールは塔から、秋男の方へくるりと振り返った。
「いいや。進んださ。この塔は秋男の塔だ。この塔に手を触れると、フレノールの時と同じように、秋男は塔の中へ吸い込まれるだろう」
「まさか、僕がカレナだなんて」
秋男は塔に手を触れてみた。
「あっ!」
「あ、秋男さんっ!?」
次の瞬間、秋男の姿は消えていた。
残されたグロールは塔にもたれて腰を掛けた。
マリネはグロールの側に膝をついて座った。
「グロール、いつから知っていたの!?」
「秋風がカレアだと分かった瞬間から」
コルネが言ってた。
どちらかがカレナだと。
「秋男がカレナを分かった以上、腹をくくらないといけないな」
グロールは空を仰いだ。


戻る 次へ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送