エピローグ

 

肌寒い空。

青いけど、今は冬。

『次は六年三組、そして伝説へ・・・です』

アナウンスが入り、霧島はピアノを弾き始める。

僕達は伴奏に合わせて歌いだす。

曲が終わる。

 

音楽発表会の特訓も空しく、僕達はどの賞も取れなかった。

 

家を留守にしていた事も、親や先生に沢山叱られて、鷹哉は『やっぱり帰るんじゃなかった』とグチっていた。

 

 

校庭でボールを蹴る。

「ねぇ、和歌奈ちゃん、あの三人、学校に戻ってから仲がいいね」

「ばっかじゃないの、たった三人でサッカーだって」

サッカーをしている僕達を見守るように、霧島は、タイヤの形をした跳び箱に座り込んでいた。

「パス!」

鷹哉が僕にボールをパス。

それを取ろうとした山本が、思わぬフェイントで尻もちをつく。

「あはは」

「林君、松坂君、笑いすぎ!」

僕は手を引いて起こしてやる。

「そう言えば山本、性格、何になった?」

「え?」

「やったんだろ?ドラクエ」

「あ、見栄っ張り」

「あははっ。らしいや」

恥ずかしそうに告白した山本に向かって、鷹哉がバカ笑いをし、山本はムッとして聞き返す。

「林君は、何だよ」

「まんま、乱暴もの」

僕がばらすと、鷹哉は

「言うなよ」

と、制するので、山本も笑って、

「らしいね」

と答えた。

「ちぇっ、袋にしてやる〜」

「わぁ!」

鷹哉が山本のわき腹にこちょこちょと攻撃をする。

「あはは」

世界を救った武道家にしては、姑息な攻撃だ。

ふと、足元に、コインらしきものを見つけた。

「あれ?鷹哉、何か落ちたよ?」

何処から落ちたんだろう?

僕が拾うなり、鷹哉が覗き込んできた。

「これ!」

初めて見るコインだ。

だが、僕も鷹哉も、これを良く知っている。

思わず顔を見合わせて同時に叫ぶ。

 

「モンスターメダル!」

 

「うそ、見せて!」

ため息をついていたはずの霧島が急に元気になり、僕達の元へ駆け寄った。

「しかも神龍の!」

鷹哉が霧島に見せる。

「って、事は、カンダタはオルテガに勝ったのね」

「やったぁぁぁ!」

霧島の言葉で僕達は飛び上がった。

 

僕達はどうやってドラクエの世界に帰れたのか、誰も覚えていなかった。だけど、ドラクエの世界へ入っていた事だけは覚えていて、それは神龍のメダルで証明された。

 

僕達はドラクエの世界で体験した事を生かして、次第に変わってゆく。

 

 

僕達の冒険は、まだ始まったばかりなのだから。

 

 

 

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